シュタイナー教育, 子供とエネルギー

私の中の四元素(6)対極にあるもの

さて、娘と正反対の性質を強く持つRちゃん。勉強もできて、お行儀もよくて、物分かりも良くて、お手本のような子。

と私は思っていました。ところが、実は学校では乱暴で、口だけでなく暴力まで使って喧嘩したり、遅刻が多くて、先生たちが困っているという噂を耳にしました。

それは、、、、確かにあり得る。

というのは、自分に見覚えがあったからです。

保育園、幼稚園、小学校と「できる子」で通っていた昔の私は、周りの子が羨ましかった。親に期待されることもなく、普通に過ごしている子が羨ましかった。お母さんに甘えて、おねだりも上手にできてる子たち。一方の私は我慢することを徹底的にしつけられたので、「我慢ができるいい子」をやり通していた。ある時、近所の子に馬鹿にされることを言われたり、いじめられるようになり、それを1年ほど我慢していたけど、とうとう怒り爆発して、怒鳴って蹴ったんだった。それをたまたま通りがかった近所のおばさんが見ていて、依頼、乱暴な子だと噂されたんだった。

噂を聞いてから、Rちゃんの様子を観察することにしました。家に遊びにきたら、別の部屋に移動して、子供たちの様子をうかがう。そうすると、確かに、私がいなくなるとRちゃんの様子は豹変します。乱暴な口調で2歳上の娘に命令をする。おとなしい娘は、Rちゃんが年下であり、自分よりも弁が立つ(娘は言語の発達が普通より遅いのでなおさらであった)ので、優しくしないといけない、とか、Rちゃんの方が正しいと自分を変に納得させたりしてやられっぱなし。

Rちゃんの言動はエスカレートしていきました。私の家ではできることに限界があるので、自分の家に娘を呼ぶようになったので、私は直接様子を見ることはできませんでしたが、娘からの報告を聞く限り、Rちゃんが尋常ではない精神状態にあるのがわかりました。不満、怒りの塊なんですね。

それは、お母さんに向けたものだと思われました。シングルマザーで忙しく働くお母さん。ストレスと仕事量の多い職場。Rちゃんがよく言っていたのです「昨日もお母さんは朝方帰ってきて、酔っぱらって玄関で寝ちゃうから、私がソファに移動させたんだよ」と。極めつけは、お母さんがRちゃんのいる前で、私に「この子を育てるの限界だから、お父さんのところに行ってもらおうかなと思ってる」と言ったことでした。

Rちゃんの気質の子は、自分が好きな人を尊敬することで落ち着くし、その人に褒められることで安心するんです。つまり、彼女が大好きなお母さんは、Rちゃんが尊敬できる大人であることが必要なんです。自分のことを可愛がってくれないし、だらしないと所を子供に見せすぎてしまうことに、Rちゃんは深く傷ついていたのです。

その後もRちゃんの暴言と問題行動はエスカレートを続け、ついに、穏やかな娘も行動を起こしました。徹底的に言葉でRちゃんに反論し、拒絶したのです。その拒絶っぷりは、、、母の私も驚きました。優秀なRちゃんに対する憧れがあったからこそ、それが崩れた時のショックは大きかったのでしょう。

今は、もう連絡を取り合っていないようです。道は二つに分かれて、もう交わることがないような感じですね。やるだけのことをやっても通じ合わないのであれば、大人であれ、子供であれ、縁は切って良いと思います。もう風の時代ですし。古いものに縛られることなく自由にしていい。

私自身の話に戻ります。大人になって聞いたことは、私をいじめていた子たちは、自分のお母さんたちが、勉強ができて、ピアノも絵も運動もできる私のことを引き合いにしてよく𠮟られていたということ。どうして恵ちゃんみたいにできないの?と。うちの母親のところにも、そのお母さんはよく相談に来ていたらしいのです。どうやったら勉強ができる子が育つのか、と。

それは、子供が傷つきますよね。それで、理不尽ないじめをしてきたんだろうな。でも、私も羨ましかったんだよ。

Rちゃんも、きっと、羨ましい、とか、いい子でいることへの疲れとか、親に構ってもらえない寂しさを暴言や暴力で発散していたんだろうなぁ。昔の私のように。彼女の怒りの根底にあるのは悲しみと、対極の性質を丸出しで生きていかれる娘への嫉妬だったのだろうと思います。

4つの元素も気質も対極にあるものとは反発もしあい、また惹かれあうのです。

Rちゃんと娘の関係を1年以上横で見ていて、私自身、気質、元素、そして自分自身の性質がよりよく理解できました。

Rちゃん、どうしてるかな。私には嫌いになれないな。Rちゃんは気持ちを理解してあげて、ちゃんとお話しを聞いてあげて、褒めてあげたら素晴らしい大人になれると思うからです。Rちゃんの持つ他の子にはない独特の感性や世界観をまわりの大人が気づいてくれるといいな、と思うのです。

コメントを残す